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弁護士の1日のスケジュール|事務所勤務の場合

弁護士の1日のスケジュールを事務所勤務の場合で紹介。朝から夜までの業務内容、繁忙期と閑散期の違いを解説します。

この記事のポイント

弁護士の1日は、法律相談、書面作成、裁判所での期日、クライアントとの打ち合わせなど、多様な業務で構成される。大手事務所のアソシエイトは朝9時〜夜10時以降の長時間勤務が一般的で、月間労働時間は200〜300時間に達することもある。一方、中小事務所や独立開業弁護士は比較的自由にスケジュールを組める。本記事では、事務所の規模別・案件の種類別に弁護士のリアルな1日を紹介する。


大手法律事務所のアソシエイトの1日

典型的な1日のスケジュール

大手法律事務所(五大事務所・準大手)で企業法務を担当するアソシエイト(若手弁護士)の典型的な1日は以下のようになる。

時間 業務内容 詳細 8:30 出勤 メールチェック、当日のスケジュール確認 9:00〜10:00 メール対応 クライアントからの問い合わせ、パートナーからの指示を確認・返信 10:00〜12:00 書面作成 契約書ドラフト、法律意見書(リーガルメモ)の作成 12:00〜13:00 昼食 デスクで食べながら作業を続けることも多い 13:00〜14:00 社内ミーティング パートナーとの案件進捗確認、チームミーティング 14:00〜16:00 デューデリジェンス M&A案件の法務DD、契約書レビュー 16:00〜17:00 クライアントミーティング Web会議または来所での打ち合わせ 17:00〜19:00 リサーチ 判例調査、法律文献の検討 19:00〜19:30 夕食 事務所近くのレストラン、またはデリバリー 19:30〜22:00 書面の仕上げ 契約書の修正、翌日のミーティング資料の準備 22:00〜23:00 メール対応・退勤 海外案件の場合、時差のある相手方との連絡

大手事務所の労働時間の実態

大手事務所の労働時間を数値で見ると、以下のようになる。

指標 数値 平均出勤時間 8:30〜9:30 平均退勤時間 21:00〜23:00 1日の平均労働時間 12〜14時間 月間労働時間 220〜300時間 ビラブルアワー(請求対象時間) 月150〜200時間 土日出勤 月2〜4回程度

ビラブルアワーとは、クライアントに請求できる稼働時間のことであり、年間目標は通常1,800〜2,200時間に設定される。実際の勤務時間のうち、事務処理、所内研修、移動時間などはビラブルアワーに含まれないため、実労働時間はビラブルアワーの1.3〜1.5倍程度になる。


中小事務所の弁護士の1日

一般民事を中心とする事務所の場合

中小規模の法律事務所で一般民事(離婚、相続、交通事故、債務整理など)を中心に取り扱う弁護士の1日は、大手事務所とは大きく異なる。

時間 業務内容 詳細 8:30 出勤 メールチェック、郵便物の確認 9:00〜10:00 事務処理 前日の法律相談の整理、事務員への指示 10:00〜11:00 法律相談(1件目) 離婚に関する初回相談(30分〜1時間) 11:00〜12:00 書面作成 訴状の起案、準備書面の作成 12:00〜13:00 昼食 地域の飲食店で食事、同業者との情報交換 13:00〜13:30 裁判所へ移動 車または電車で移動 13:30〜14:30 裁判所での期日 口頭弁論期日(1〜2件) 14:30〜15:00 裁判所から事務所へ移動 15:00〜16:00 法律相談(2件目) 相続に関する相談 16:00〜17:00 電話対応 クライアントへの進捗報告、相手方弁護士との交渉 17:00〜18:30 書面作成 契約書のレビュー、内容証明郵便の作成 18:30〜19:00 翌日の準備 スケジュール確認、退勤

中小事務所の労働時間

指標 数値 平均出勤時間 8:30〜9:00 平均退勤時間 18:30〜20:00 1日の平均労働時間 9〜11時間 月間労働時間 180〜220時間 土日出勤 月0〜2回程度

中小事務所では大手事務所ほどの長時間労働にはなりにくく、19時〜20時には退勤できることが多い。ただし、裁判の期日前や書面提出の締め切り前には残業が増えることもある。


独立開業弁護士の1日

開業弁護士のスケジュールの特徴

独立開業弁護士は自分でスケジュールを管理するため、最も自由度が高い反面、経営業務も加わるため多忙になりやすい。

時間 業務内容 詳細 8:00 出勤 メールチェック、当日のスケジュール確認 8:30〜9:00 経営業務 売上管理、請求書発行、経費精算 9:00〜10:30 法律相談(1件目) 新規相談者への初回相談 10:30〜12:00 書面作成 準備書面、答弁書の作成 12:00〜13:00 昼食・営業活動 商工会議所の会合、経営者との食事会 13:00〜15:00 裁判所での期日 口頭弁論、調停期日 15:00〜16:00 法律相談(2件目) 電話相談、Web相談 16:00〜17:00 クライアント対応 電話での進捗報告、示談交渉 17:00〜18:00 広報・マーケティング ブログ記事の執筆、SNS更新、Webサイトの更新 18:00〜19:00 事務処理・退勤 翌日の準備、事務所の整理

独立開業弁護士の特徴は、法律業務に加えて経営・マーケティング業務に時間を割く必要がある点である。特にWeb集客に力を入れている弁護士は、ブログ記事の執筆やSNS運用に毎日30分〜1時間程度を費やしている。


案件の種類別:業務の1日

M&A案件の1日

大型M&A案件に携わる弁護士の業務は、以下のような内容が中心となる。

業務 時間の目安 内容 デューデリジェンス 4〜6時間/日 対象会社の契約書、規程、議事録のレビュー 契約書交渉 2〜3時間/日 株式譲渡契約書(SPA)の条項交渉 クライアント報告 1〜2時間/日 DD結果の報告、リスク事項の説明 リサーチ 1〜2時間/日 関連法令・判例の調査

M&A案件のピーク時(クロージング直前など)には、深夜3〜4時まで作業が続くことも珍しくなく、数日間で睡眠時間が合計10時間以下になることもある。

刑事事件の1日

刑事弁護を担当する弁護士の1日は、一般的な民事弁護士とは大きく異なる。

業務 時間の目安 内容 接見(面会) 1〜2時間 留置施設や拘置所での被疑者・被告人との面会 記録の検討 2〜3時間 捜査記録の閲覧、証拠の分析 書面作成 2〜3時間 弁論要旨、意見書の作成 法廷活動 2〜4時間 公判期日での弁護活動 関係者との連絡 1〜2時間 検察官との打ち合わせ、証人への連絡

刑事事件では接見が特に重要な業務であり、被疑者の勾留中は頻繁に留置施設を訪問する必要がある。当番弁護士として突然の出動要請を受けることもあり、スケジュールが読みにくい面がある。

離婚事件の1日

離婚事件を中心に取り扱う弁護士の業務は、以下のような内容が多い。

業務 時間の目安 内容 法律相談 1〜2時間 初回相談、方針の説明 書面作成 2〜3時間 調停申立書、準備書面の作成 調停・裁判期日 2〜3時間 家庭裁判所での離婚調停期日 交渉 1〜2時間 相手方弁護士との交渉(財産分与、養育費等) クライアント対応 1〜2時間 電話・メールでの相談対応

離婚事件の特徴は、クライアントの感情面でのケアが重要な業務の一部となる点である。法律的な助言だけでなく、精神的に不安定なクライアントに寄り添う姿勢が求められる。


繁忙期と閑散期

弁護士の繁忙期

弁護士の業務には一定の季節性がある。

時期 繁忙の理由 3月〜4月 年度末決算に伴う企業法務、株主総会準備の開始 6月 株主総会の集中月(上場企業の約95%が6月開催) 9月〜10月 上半期決算、M&A案件の増加 12月 年末の案件クロージング、決算対応

企業法務中心の弁護士は3月と6月、12月が特に繁忙期となる。一般民事の弁護士は季節性が少ないが、年度末(3月)や年末(12月)は裁判所の期日が減少するため、書面作成に集中できる期間となる。

閑散期の過ごし方

比較的業務が落ち着く時期(8月のお盆前後、年末年始など)には、以下のような活動に時間を充てる弁護士が多い。

  • 研修・セミナーへの参加:弁護士会主催の研修、外部セミナーへの参加
  • 自己研鑽:専門書の精読、新しい法分野の学習
  • 人脈形成:同期弁護士との交流、業界団体のイベント参加
  • 休暇の取得:夏季休暇、年末年始休暇

弁護士の1日を支えるツール

日常的に使用するツール

現代の弁護士が日常的に使用するツールを紹介する。

ツールの種類 具体例 用途 法律データベース Westlaw Japan、LLI統合型法律情報システム 判例検索、法令検索 文書管理 iManage、SharePoint 契約書・書面の管理・共有 事件管理 護(まもる)、リーガルプロ 案件の進捗管理、期日管理 コミュニケーション Microsoft Teams、Slack、Zoom 社内連絡、クライアントとのWeb会議 文書作成 Microsoft Word、一太郎 書面の作成・編集 会計 弥生会計、freee 事務所の会計管理(独立開業の場合)

大手事務所ではこれらのツールが事務所から提供されるが、独立開業の場合は自分で選定・導入する必要がある。


まとめ

弁護士の1日は、事務所の規模や取扱案件の種類によって大きく異なる。大手事務所のアソシエイトは朝9時から夜10時以降まで、月間200〜300時間に及ぶ長時間労働が一般的である。一方、中小事務所や独立開業弁護士は19時〜20時頃に退勤できることが多く、比較的ワークライフバランスを保ちやすい。いずれの場合も、法律相談、書面作成、裁判所での期日、クライアント対応が主要な業務であり、高度な専門性とコミュニケーション能力が求められる。弁護士を目指す方は、自分が望む働き方に合った事務所や勤務形態を選ぶことが、充実したキャリアの第一歩となる。


よくある質問(FAQ)

Q1. 弁護士は毎日裁判所に行く?

毎日ではない。裁判所での期日がある日は週1〜3日程度が一般的であり、それ以外の日は事務所で書面作成、法律相談、リサーチなどを行う。大手事務所の企業法務弁護士は、裁判所に行く頻度がさらに少ない場合もある。

Q2. 弁護士に休日はある?

基本的に土日休みだが、繁忙期や期限前には土日出勤が必要になることがある。大手事務所のアソシエイトは月2〜4回の土日出勤があるとされる。中小事務所や独立開業弁護士は比較的休みを取りやすい。

Q3. 弁護士は有給休暇を取れる?

勤務弁護士の場合、事務所の規模や方針によって異なる。大手事務所は制度上の有給休暇は整備されているが、実際の取得率はばらつきがある。独立開業弁護士は自分でスケジュールを管理するため、計画的に休暇を取ることが可能である。

Q4. テレワークは可能?

コロナ禍以降、多くの法律事務所がテレワークを導入した。書面作成やリサーチは自宅でも可能であり、クライアントとの打ち合わせもWeb会議で行われることが増えている。ただし、裁判所での期日や機密性の高い案件の打ち合わせは対面が基本である。


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