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弁護士の副業5選|資格を活かした収入多角化

弁護士が資格を活かしてできる副業5選を紹介。社外取締役、講師、執筆、仲裁人、コンサルなど収入多角化の方法と注意点を詳しく解説します。

この記事のポイント

弁護士は自由業であり、本業以外の活動にも幅広く取り組むことができる。弁護士資格を活かした副業は収入の多角化だけでなく、専門性の向上やネットワークの拡大にもつながる。本記事では、弁護士におすすめの副業5選と、副業を始める際の注意点を解説する。


弁護士が副業をする背景

収入の多角化の必要性

弁護士の収入は案件の受任状況に左右されるため、安定性に欠ける面がある。特に独立開業した弁護士にとって、収入源を複数持つことはリスクヘッジとして極めて重要である。

また、弁護士人口の増加に伴う競争の激化により、従来型の弁護士業務だけでは十分な収入を確保しにくくなっている面もある。副業によって収入を補いつつ、新たなクライアントの獲得につなげるという戦略は、今後ますます重要になるだろう。

副業のメリット

弁護士が副業に取り組むメリットは収入面にとどまらない。

  • 専門性の深化:特定分野について執筆や講演を行うことで、自身の知識が体系化される
  • 人脈の拡大:弁護士業界以外の人々との接点が増え、新たなビジネスチャンスにつながる
  • ブランディング:メディアへの露出や書籍の出版を通じて、自分の名前と専門性を広く知ってもらえる
  • 知的好奇心の充足:弁護士業務とは異なる領域に関わることで、モチベーションの維持につながる
  • セーフティネット:本業の収入が減少した場合の備えとなる

副業1:社外取締役・社外監査役

概要と報酬

コーポレートガバナンス改革の進展に伴い、上場企業を中心に社外取締役や社外監査役の需要が急増している。弁護士は法律の専門家として、取締役会での法的助言やコンプライアンス体制の監督といった役割を担うことができる。

社外取締役・社外監査役の報酬は、企業の規模によって大きく異なるが、おおよその目安は以下の通りである。

企業規模 社外取締役の年間報酬 社外監査役の年間報酬 東証プライム上場(大手) 800万〜1,500万円 600万〜1,000万円 東証プライム上場(中堅) 400万〜800万円 300万〜600万円 東証スタンダード・グロース 200万〜500万円 150万〜400万円 非上場企業 100万〜300万円 100万〜200万円

上場企業の社外取締役であれば、月1〜2回の取締役会への出席と、必要に応じた委員会への参加が主な業務であり、弁護士業務との両立は十分に可能である。

就任のポイント

社外取締役に就任するためには、一定の実績と人脈が必要である。具体的には、企業法務の経験が豊富であること、コーポレートガバナンスに関する知見があること、そして何より推薦者(既存の取締役や株主)との関係があることが重要である。

近年では、社外役員のマッチングサービスも増えており、実績のある弁護士がこれらのプラットフォームに登録して企業とのマッチングを図るケースも増えている。


副業2:講師・セミナー講演

概要と報酬

弁護士が講師やセミナー講演を行う場面は多岐にわたる。法科大学院の非常勤講師、企業研修の講師、弁護士会の研修講師、一般向けのセミナー講演など、さまざまな形態がある。

講師の種類 報酬の目安 頻度 法科大学院非常勤講師 1コマ1万〜3万円 週1〜2回(学期中) 企業研修講師 1回5万〜30万円 依頼ベース 弁護士会研修講師 1回3万〜10万円 年数回 一般向けセミナー 1回5万〜50万円 依頼ベース オンライン講座 ストック型収入 継続的

企業研修の講師は、コンプライアンス研修、ハラスメント防止研修、個人情報保護研修など、企業が定期的に実施する必要のある研修に対応するものであり、安定した需要がある。

講師業を成功させるポイント

講師として評価されるためには、法的知識の正確さだけでなく、わかりやすいプレゼンテーション能力が求められる。法律の専門家でない聴衆に対して、専門用語をかみ砕いて説明し、具体的な事例を交えながら理解を促す能力が重要である。

自主開催のセミナーは、新規クライアントの獲得にもつながるため、集客の工夫(SNSでの告知、テーマの選定、参加者へのフォローアップ)も大切である。


副業3:執筆活動(書籍・記事)

概要と報酬

法律に関する書籍の執筆や、雑誌・ウェブメディアへの記事寄稿は、弁護士にとって王道の副業の一つである。

執筆の種類 報酬の目安 備考 法律専門書 印税(定価×5〜10%×部数) 初版3,000〜5,000部程度 一般向け法律書 印税(定価×8〜10%×部数) ヒットすれば大きな収入に 雑誌記事(専門誌) 1本3万〜10万円 ページ数による ウェブ記事(監修) 1本1万〜5万円 監修名義のみの場合も コラム連載 月5万〜20万円 定期的な収入源になる

法律専門書は部数が限られるため、印税収入としては大きくないが、専門家としての評価を高める効果がある。一方、一般向けの法律書(「身近な法律トラブル」「相続の基礎知識」など)は、部数が伸びれば数百万円の印税収入を得ることも可能である。

執筆活動の始め方

執筆活動を始めるには、まず自分の専門分野に関するブログや記事を定期的に発信することが有効である。ウェブ上での発信が出版社の目に留まり、書籍の執筆依頼につながるケースは少なくない。

弁護士会が発行する会報誌への寄稿や、法律雑誌(ジュリスト、法学教室、法律のひろばなど)への論文投稿も、執筆のキャリアを積む上で有用である。


副業4:仲裁人・調停人

概要と報酬

紛争解決の経験を持つ弁護士にとって、仲裁人や調停人としての活動は、副業として非常に相性が良い。裁判外紛争解決手続(ADR)の活用が拡大する中で、仲裁人・調停人の需要は増加している。

仲裁人としての報酬は案件の規模によって大きく異なるが、国際仲裁では1件あたり数百万円から数千万円の報酬を得ることもある。国内の仲裁や調停では、1件あたり数万円から数十万円程度であるが、経験を積み重ねることで着実な収入源となる。

仲裁人・調停人になるには

仲裁人・調停人としての活動を始めるためには、まず各仲裁機関(日本商事仲裁協会、東京国際仲裁センターなど)や弁護士会の紛争解決センターに仲裁人・調停人として登録する必要がある。

国際仲裁の分野で活動するためには、英語力と国際取引法の知識が必要であり、海外の仲裁機関(ICC、SIAC、HKIACなど)への登録も検討する価値がある。

仲裁人としての評価を高めるためには、仲裁法や国際仲裁に関する論文の発表、仲裁関連のセミナーへの参加、仲裁人養成講座の修了などが有効である。


副業5:コンサルティング

概要と報酬

弁護士がコンサルタントとして活動するケースも増えている。法律の知識を活かしたコンサルティングは、従来の弁護士業務とは異なる価値を提供する手段である。

コンサルティングの形態は多様であるが、主に以下のようなものがある。

コンプライアンスコンサルティング:企業の内部統制やコンプライアンス体制の構築を支援する。法律事務所としての顧問契約とは異なり、より実務的・組織的な視点からのアドバイスを行う。

スタートアップ支援:スタートアップ企業の法務顧問にとどまらず、事業戦略や資金調達についてもアドバイスを行う。弁護士がアドバイザーやメンターとしてスタートアップに関与するケースが増えている。

M&Aアドバイザリー:法務面だけでなく、ビジネス面も含めたM&Aのアドバイザリーサービスを提供する。フィナンシャルアドバイザー(FA)としての役割を担う弁護士もいる。

コンサルの種類 報酬の目安 特徴 コンプライアンス構築 月額30万〜100万円 継続的な関与 スタートアップ支援 ストックオプション+月額 リスクとリターンが大きい M&Aアドバイザリー 成功報酬型 高額だが案件次第 研修プログラム設計 1プログラム50万〜200万円 企業ごとにカスタマイズ

副業をする際の注意点

弁護士倫理との整合性

弁護士が副業を行う際には、弁護士職務基本規程に定められた倫理規範を遵守する必要がある。特に注意すべき点は以下の通りである。

利益相反の回避:社外取締役として関与する企業が、弁護士として受任している案件の相手方となる場合、利益相反が生じる。副業を開始する前に、利益相反のリスクを十分に検討する必要がある。

守秘義務の遵守:執筆や講演を行う際に、依頼者の情報を無断で開示してはならない。事例を紹介する場合は、特定の依頼者が識別されないよう十分に加工する必要がある。

品位の保持:弁護士としての品位を損なうような副業は避けるべきである。弁護士法には「品位を失うべき非行」を懲戒事由とする規定があり、副業の内容によっては懲戒の対象となる可能性がある。

所属事務所の了承

法律事務所に所属する弁護士が副業を行う場合は、事務所の方針や規定を確認する必要がある。大手事務所では、副業を制限する規定を設けている場合がある。副業を始める前に、パートナーや事務所の管理者に相談し、了承を得ることが重要である。

時間管理とクオリティの維持

副業に時間を割きすぎて本業がおろそかになることは避けなければならない。依頼者に対するサービスの質を維持しながら、副業を行うためには、厳格な時間管理が求められる。

副業の量は、まず少量から始めて徐々に拡大するのが賢明である。最初から多くの副業を抱えると、いずれの業務も中途半端になるリスクがある。

税務上の注意点

副業で得た収入は、確定申告で適切に申告する必要がある。弁護士としての本業の収入と副業の収入を分けて管理し、経費の計上も適正に行うことが求められる。税務上の処理に不安がある場合は、税理士に相談することが望ましい。


まとめ

弁護士の副業は、収入の多角化だけでなく、専門性の向上、人脈の拡大、ブランディングなど、多方面にメリットをもたらす。社外取締役、講師、執筆、仲裁人、コンサルティングの5つは、弁護士資格と経験を活かせる代表的な副業であり、いずれも本業との相乗効果が期待できる。

重要なのは、副業を始める前に弁護士倫理や所属事務所の規定を確認し、利益相反や守秘義務の問題が生じないよう注意することである。本業の質を維持しながら、計画的に副業を拡大していくことが成功の鍵となる。


よくある質問(FAQ)

Q1. 弁護士が副業をすることは法律上問題ありませんか?

弁護士には一般企業のような就業規則上の副業禁止規定は適用されない。ただし、弁護士法に定められた品位保持の義務や、弁護士職務基本規程の規定は遵守する必要がある。また、法律事務所に所属している場合は事務所の規定を確認する必要がある。

Q2. 若手弁護士でも副業はできますか?

可能だが、まずは本業で十分な経験を積むことが優先される。若手弁護士が取り組みやすい副業としては、法律記事の執筆やSNSでの法律情報の発信、弁護士会の研修講師などがある。社外取締役やコンサルティングは、ある程度の実務経験を積んだ後に始めるのが現実的である。

Q3. 副業の収入はどのくらい期待できますか?

副業の種類と投入する時間によって大きく異なる。社外取締役であれば年間200万〜1,000万円以上、講師業であれば年間50万〜300万円程度、執筆活動であれば年間10万〜200万円程度が一つの目安である。副業は即座に大きな収入をもたらすものではなく、継続的に取り組むことで徐々に収入が増えていくものと考えるべきである。

Q4. 弁護士の副業でおすすめのものはどれですか?

個人の専門分野、経験年数、興味関心によって最適な副業は異なる。企業法務が専門であれば社外取締役やコンプライアンスコンサルティング、訴訟が専門であれば仲裁人・調停人、幅広い分野を扱う弁護士であれば講師や執筆活動が相性が良い。まずは自分の強みを活かせる副業から始めるのがおすすめである。


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