刑事訴訟法の重要判例15選|捜査・伝聞・訴因の判例整理
刑事訴訟法の重要判例15選を分野別に解説。捜査法、伝聞法則、訴因論、違法収集証拠排除に関する判例の判旨と射程を整理します。
この記事のポイント
刑事訴訟法は判例の正確な理解が不可欠であり、捜査法・伝聞法則・訴因論を中心に重要判例を体系的に整理する。
捜査法に関する判例
1. 最決昭51.3.16(強制処分の定義)
個人の意思を制圧し、身体・住居・財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為は強制処分に当たる。
2. 最判昭53.6.20(所持品検査)
職務質問に付随する所持品検査は、捜索に至らない程度の行為で必要性・緊急性が認められれば許容される。
3. 最大判昭44.12.24(京都府学連事件)
写真撮影は、犯罪の現行性・証拠保全の必要性・緊急性・方法の相当性がある場合に許容される。
4. 最大判平29.3.15(GPS捜査)
GPS捜査は個人のプライバシーを侵害する強制処分に当たり、新たな立法的措置が必要。
5. 最大判平11.3.24(初回接見)
初回接見は被疑者の防御の準備のため特に重要であり、速やかに接見の機会を与えなければならない。
伝聞法則に関する判例
6. 最判平18.11.7(328条の弾劾証拠)
328条により許容されるのは自己矛盾供述に限られる。
7. 最判昭30.1.11(実況見分調書と現場供述)
実況見分調書中の現場供述部分は伝聞証拠に該当する。
自白法則に関する判例
8. 最判昭41.7.1(約束による自白)
起訴猶予の約束による自白は任意性が否定される。
9. 最大判昭33.5.28(共犯者の自白)
共犯者の自白は被告人本人の自白の補強証拠となりうる。
違法収集証拠に関する判例
10. 最判昭53.9.7(排除法則の確立)
令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、証拠として許容することが将来の違法捜査抑制の見地から相当でない場合、証拠能力が否定される。
訴因に関する判例
11. 最決平13.4.11(訴因変更の要否)
共謀共同正犯と単独正犯の間で実行行為者が変わる場合の訴因変更の要否。
12. 最判平24.2.29(殺意の有無と訴因変更)
殺人から傷害致死への認定変更は訴因変更が必要。
公訴・身体拘束に関する判例
13. 最決昭55.12.17(公訴権濫用)
公訴権の濫用が認められるのは極限的な場合に限られる。
14. 最決平16.7.12(おとり捜査)
機会提供型のおとり捜査は任意捜査として許容される場合がある。
15. 最判昭53.9.7(再掲)と最決昭53.9.7の射程
排除法則の2段階テストは以後の判例の基本枠組みとなっている。
まとめ
- 捜査法は最決昭51.3.16の強制処分定義が出発点
- 伝聞法則は328条の射程(最判平18.11.7)が重要
- 自白法則は任意性の判断基準を判例で確認
- 違法収集証拠は2段階テスト(最判昭53.9.7)
- 訴因論は訴因変更の要否の判断基準が頻出