上訴制度の体系|控訴・上告の理由と手続
刑事訴訟法の上訴制度を体系的に解説。控訴理由の類型、事実誤認と量刑不当、上告理由、判例違反、不利益変更禁止の原則を整理します。
この記事のポイント
刑事上訴は控訴・上告・抗告の3種類があり、控訴では事実誤認と量刑不当が、上告では憲法違反と判例違反が主要な上訴理由である。
控訴(372条〜)
控訴理由
条文 理由 377条 訴訟手続の法令違反(絶対的控訴理由) 378条 訴訟手続の法令違反(相対的控訴理由) 379条 法令適用の誤り 380条 量刑不当 381条 事実誤認 382条 事実誤認の補充 382条の2 やむを得ない事由による新証拠事実誤認(382条)
事実の誤認があってその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴を申し立てることができる。
量刑不当(380条)
刑の量定が不当であることを理由とする。
控訴審の構造
事後審制
審査方式 内容 事後審 第一審判決の当否を記録に基づいて事後的に審査 続審 第一審の続きとして審理(民事控訴審の原則) 覆審 第一審を無視して全面やり直し刑事控訴審の性格
事後審を基本としつつ、事実の取調べも可能(393条)。
破棄の範囲
破棄の種類 内容 破棄差戻し 原判決を破棄して原審に差し戻す 破棄自判 原判決を破棄して控訴審が自ら判決上告(405条〜)
上告理由
条文 理由 405条1号 憲法違反 405条2号 憲法の解釈の誤り 405条3号 最高裁判例違反職権破棄(411条)
上告理由がない場合でも、判決に影響を及ぼすべき法令の違反・量刑不当・事実誤認等がある場合、職権で原判決を破棄できる。
不利益変更禁止の原則(402条)
意義
被告人のみが控訴・上告した場合、原判決の刑より重い刑を言い渡すことができない。
趣旨
被告人の上訴権の実効性を確保する。上訴により不利益を受けるおそれがあれば上訴を躊躇させることになるため。
適用範囲
場面 適用 被告人のみの控訴 適用あり 検察官も控訴 適用なし 差戻し後の第一審 適用ありまとめ
- 控訴理由は事実誤認・量刑不当・法令違反が主要
- 刑事控訴審は事後審を基本とする
- 上告理由は憲法違反・判例違反に限定
- 職権破棄(411条)により上告理由がなくても破棄可能
- 不利益変更禁止は被告人の上訴権保障のための原則