おとり捜査・写真撮影・通信傍受|特殊捜査手法の適法性
特殊捜査手法の適法性を解説。おとり捜査の適法性基準、写真撮影・ビデオ撮影の要件、通信傍受法の体系を整理します。
この記事のポイント
おとり捜査・写真撮影・通信傍受等の特殊捜査手法は、任意捜査か強制処分かの区別、適法性の判断基準が問題となる。 各手法の法的性質と判例を正確に理解する。
おとり捜査
定義
捜査機関又はその協力者が、犯罪を実行するように対象者を働きかけ、犯罪を実行させてこれを検挙する捜査手法。
分類
類型 内容 機会提供型 既に犯意を持つ者に犯行の機会を提供 犯意誘発型 犯意のない者に犯意を生じさせる判例(最決平16.7.12)
要件 内容 対象犯罪 直接の被害者がいない薬物犯罪等 必要性 通常の捜査方法では検挙困難 相当性 機会提供型であること 結論 任意捜査として許容される場合がある写真撮影・ビデオ撮影
最大判昭44.12.24(京都府学連事件)
要件 内容 現に犯罪が行われている 犯罪の現行性 証拠保全の必要性・緊急性 証拠保全が必要かつ緊急 方法の相当性 撮影方法が相当であること防犯カメラ・Nシステム
手法 法的評価 防犯カメラ 設置目的の正当性と撮影の必要性・相当性で判断 Nシステム 車両のナンバーを自動的に読み取る→強制処分に至らないとされることが多い通信傍受
通信傍受法(1999年制定)
要素 内容 対象犯罪 薬物犯罪・銃器犯罪・集団密航・組織的殺人等 令状 裁判官の発する傍受令状が必要 補充性 他の方法では犯人の特定等が困難 期間 原則10日間(延長10日間)2016年改正
改正事項 内容 対象犯罪の拡大 詐欺・窃盗等の一般犯罪にも拡大 通信事業者の立会い 特定電子計算機による通信傍受の導入(立会い不要化)秘密録音
法的性質
対話の一方当事者が秘密に録音する場合と、第三者が秘密に録音する場合で評価が異なる。
類型 法的評価 一方当事者録音 原則として適法(当事者の同意あり) 第三者録音 プライバシー侵害の問題→強制処分に該当しうるまとめ
- おとり捜査は機会提供型であれば任意捜査として許容(判例)
- 写真撮影は京都府学連事件の3要件で判断
- 通信傍受は傍受令状が必要(通信傍受法)
- GPS捜査は強制処分(最大判平29.3.15)
- 特殊捜査手法はプライバシーとの衡量が常に問題