1係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
この条文の過去問 2問
正しい。転借人が占有を移転すると転借人に対する判決で明渡しを執行できなくなるおそれがあるから、賃貸人は本訴提起前に占有移転禁止の仮処分を申し立てることができる。
民事保全法23条1項は、係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができると定める。占有移転禁止の仮処分は、債務者に係争物の占有の移転を禁止し、その旨を公示させるものであり(同法25条の2第1項参照)、その執行後に占有を取得した者に対しても、債務者に対する本案の判決に基づいて明渡しの執行ができるようにして、被告を固定する働きをする。賃貸人の転借人に対する明渡請求は、転借人が建物を占有していることを前提とするから、本案の判決前に転借人が第三者に占有を移すと、転借人を被告とする判決では明渡しを実現できなくなるおそれがある。民事保全は本案の訴えの提起前でも申し立てることができるから、賃貸人は本訴提起に先立って転借人に対し占有移転禁止の仮処分を申し立てることができる。肢は正しい。

係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
- 仮差押え:金銭債権の強制執行を保全する(民事保全法20条)
- 係争物に関する仮処分:特定物の引渡し・登記などの請求権を保全する。処分禁止の仮処分・占有移転禁止の仮処分(同法23条1項)
- 仮の地位を定める仮処分:争いのある権利関係について著しい損害・急迫の危険を避ける。原則として口頭弁論か債務者が立ち会える審尋が必要(同法23条2項・4項)
誤り。違うのは「仮差押命令の申立てをすることができる」の部分である。仮差押命令は金銭の支払を目的とする債権を保全するもので(民事保全法20条1項)、登記請求権の保全は処分禁止の仮処分による。
民事保全法20条1項は、仮差押命令は金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができると定める。仮差押えは、将来の金銭執行に備えて債務者の財産の処分を禁じる制度であり、被保全権利は金銭債権に限られる。所有権移転登記の抹消登記請求権は、特定の不動産についての登記手続を求める権利であって金銭債権ではないから、仮差押えの被保全権利にはならない。この権利を保全するには、目的物の現状の変更により権利の実行ができなくなるおそれがある場合の係争物に関する仮処分(同法23条1項)、具体的には処分禁止の仮処分を申し立てることになる。肢は誤りである。

仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。