行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
この条文の過去問 8問
誤り。違うのは「1回の不履行に対して1回しか徴収することはできず、義務が履行されるまで何度も徴収することはできない」の部分である。執行罰は制裁ではなく履行を促す強制執行であり、履行されるまで繰り返し科すことができる。
執行罰は、義務の不履行に対してあらかじめ過料を科すことを予告し、期限内に履行しなければ過料を強制的に徴収することで、義務者に心理的な圧力をかけて履行させる強制執行の一種である。現行法では砂防法36条にだけ残っている。執行罰の過料は過去の違反を責める制裁ではなく、将来の履行を実現するための手段であるから、一度徴収しても履行がなければ改めて予告して繰り返し科すことができ、刑罰ではないので二重処罰の禁止にも触れない。義務が履行されるまで何度も科せる点こそが、一回の違反に一回だけ科される行政刑罰や秩序罰と執行罰を分ける特徴である。さらに、行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると定めており、代執行以外の強制執行の手段は法律でなければ創設できない。したがって本件条例で執行罰を新たに定めることもできない。本肢は執行罰の回数を誤り、条例で執行罰を設けられるとする前提も誤っている。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
- 代執行:代替的作為義務について、行政庁が自ら行い又は第三者に行わせ、費用を義務者から徴収する。一般法は行政代執行法
- 執行罰:義務の不履行に対し過料を予告して心理的に履行を促す手段。履行されるまで何度でも科せる。現行法では砂防法36条だけに残る
- 直接強制:義務者の身体又は財産に直接実力を加える手段。成田新法に基づく封鎖など個別法にわずかに残る
- 強制徴収:金銭債権について、国税徴収法の滞納処分の例により財産を差し押さえて換価する
誤り。違うのは「地方公共団体が条例に基づき即時強制を行うことを禁止する明文の規定を置いている」の部分である。行政代執行法は義務の履行確保を規律する法律であり、即時強制について規定を置いていない。
行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると定め、2条は、法律により直接に命ぜられ、又は法律に基づき行政庁により命ぜられた行為について代執行の要件を定める。同法が規律するのは、既に成立した義務の履行を確保するための強制執行の作用であり、義務の存在を前提とせずに直接私人の身体又は財産に実力を行使する即時強制は、そもそも同法の規律対象ではない。したがって同法には即時強制に関する一般的な規定がなく、地方公共団体が条例に基づいて即時強制を行うことを禁止する明文の規定も置かれていない。同法1条にいう法律には条例が含まれないと解されるため、義務履行確保の手段を条例で独自に創設することには制約があるが、即時強制はこれと区別され、条例を根拠として定めることができると解するのが一般である。実際にも、放置自転車の撤去や違法広告物の除却など、条例を根拠とする即時強制が広く行われている。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
- 定義: 義務を命じていては目的を達せられない緊急の場面で、義務を課すことなく直接に人の身体や財産へ実力を加える作用。義務の不履行を前提に実力を加える直接強制とは、義務の賦課があるかどうかで区別する
- 根拠: 権利利益を直接侵害する権力的な作用だから、義務を課す規定とは別に、即時強制を認める法律の根拠が要る(警職法3条・4条、消防法29条など)
- 条例: 行政代執行法1条は義務の履行確保に関する規律で、即時強制は射程外。条例を根拠とする即時強制(放置自転車の撤去、違法広告物の除却)は可能
- 限界: 警察比例の原則(警職法1条2項)が働き、必要最小限度を超える実力行使は違法になる。憲法31条・35条の手続的保障も場面によって及ぶ
- 救済: 継続する即時強制には取消訴訟・執行停止、行われる前には差止めの訴え、終了後は国家賠償で争う
誤り。前半の「別に法律で定めるものを除いては、同法の定めるところによる」は正しいが、後半の「条例に即時強制の手法を定めることは許されない」が違う。即時強制は義務の履行確保の手段ではなく、行政代執行法1条の射程外である。
行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると規定する。同法2条が代執行の対象となる義務の根拠について「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)」と括弧書きを置いているのと対比すると、1条の「法律」に条例は含まれず、地方公共団体が条例で独自の義務履行確保手段を創設することは許されない。前段はこの限りで正しい。しかし1条が規律するのは、私人に義務が課されていることを前提として、その不履行に対して義務を強制的に実現する作用である。即時強制は、義務を命じる暇のない急迫の場面で、義務を課さずに直接私人の身体や財産に実力を加える作用であり、義務の存在を前提としないから義務履行確保の手段ではない。したがって即時強制は行政代執行法1条の射程外であり、同条を理由に条例で即時強制を定めることが否定されることはない。即時強制は住民の権利を実力で制限するから、地方自治法14条2項により条例の根拠が求められ、放置自転車の撤去のように条例で定めることは許されている。

第1条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。 第2条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合……
| 手段 | 義務の存在 | 条例で創設 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 代執行 | 代替的作為義務が前提 | 義務の根拠は条例でも可(代執行法2条) | 一般法は行政代執行法 |
| 執行罰 | 前提 | 不可(1条の「法律」に条例は含まれない) | 現行法では砂防法36条のみ |
| 直接強制 | 前提 | 不可 | 個別法に限る(成田新法など) |
| 行政上の強制徴収 | 金銭債務が前提 | 不可 | 国税徴収法の例による旨の規定が要る |
| 即時強制 | 前提としない | 可(地方自治法14条2項) | 代執行法1条の射程外。警察比例の原則 |
誤り。違うのは「執行罰としての過料を課すことにより、本件命令に基づく義務の履行を確保することができる」の部分である。執行罰は法律でしか創設できず、条例に置いた規定は行政代執行法1条に反して効力をもたない。
執行罰は、義務者に対して一定期間内に義務を履行しなければ過料を課すと予告し、その心理的圧迫によって義務の履行を間接的に強制する手段である。行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると規定する。同法2条が義務の根拠について「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)」と条例を含める括弧書きを置いているのと対比すると、1条の「別に法律で定めるもの」の「法律」に条例は含まれない。すなわち代執行以外の義務履行確保手段である執行罰や直接強制は国の法律によってのみ創設でき、地方公共団体が条例で独自に定めることは許されない。現行法上、執行罰の規定は砂防法36条に残るだけである。したがって本件条例に執行罰の規定を置いても、その規定は行政代執行法1条に反して効力をもたず、BがAに執行罰としての過料を課して本件命令に基づく義務の履行を確保することはできない。義務の根拠は条例でよいが、履行確保の手段は法律でなければならないという区別がここでの決め手である。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
| 手段 | 義務の存在 | 条例で創設 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 代執行 | 代替的作為義務が前提 | 義務の根拠は条例でも可(代執行法2条) | 一般法は行政代執行法 |
| 執行罰 | 前提 | 不可(1条の「法律」に条例は含まれない) | 現行法では砂防法36条のみ |
| 直接強制 | 前提 | 不可 | 個別法に限る(成田新法など) |
| 行政上の強制徴収 | 金銭債務が前提 | 不可 | 国税徴収法の例による旨の規定が要る |
| 即時強制 | 前提としない | 可(地方自治法14条2項) | 代執行法1条の射程外。警察比例の原則 |
誤り。違うのは「執行罰の規定が本件条例に置かれている場合には、Bは、Aに対して執行罰としての過料を課すことにより」の部分である。執行罰は法律でなければ定められず、条例に置かれた執行罰の規定は無効である。
行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると規定する。ここでいう「法律」に条例が含まれるかについて、同法2条が代執行の対象となる義務の根拠について「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)」と括弧書きで条例を含めているのと対比すると、1条の「法律」には条例が含まれないと解される。したがって、行政上の義務の履行確保の手段は代執行のほかは法律でしか創設できず、執行罰や直接強制を条例で定めることはできない。履行確保の手段は国民の身体や財産に強制を加えるものであり、その創設を国の法律に留保することで、地方公共団体ごとに強制手段が乱立することを防ぐ趣旨である。本件条例に執行罰の規定が置かれても、その規定は行政代執行法1条に反して無効であり、Bはこれに基づいて過料を課すことができない。なお、地方自治法14条3項が条例で定めることを認める過料は、義務違反に対する事後の制裁である秩序罰としての過料であって、履行を将来に向けて間接的に強制する執行罰としての過料とは性質が異なる。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
| 手段 | 対象となる義務 | 一般法・根拠 | 条例で定められるか |
|---|---|---|---|
| 代執行 | 代替的作為義務(除却・撤去など) | 行政代執行法(一般法) | 条例で課した義務にも行政代執行法で代執行できる |
| 執行罰 | 不作為義務・非代替的作為義務(過料の予告で心理的に強制) | 個別の法律(砂防法36条のみ) | できない(行政代執行法1条の「法律」に条例は含まれない) |
| 直接強制 | すべての義務(義務者の身体・財産に直接実力を加える) | 個別の法律(成田新法など) | できない |
| 強制徴収 | 金銭債務 | 国税徴収法の例による旨の個別規定 | できない(地方税は地方税法) |
正しい。本件契約は私法上の委託契約であり、B社の同意に基づく契約上の義務として、市の職員による作業所の検査への協力義務を定めることができる。
行政主体が私人と結ぶ契約は、相手方の同意を基礎とする非権力的な行為形式であり、公序良俗や法令に反しない限り、当事者は合意によって多様な条項を定めることができる。相手方が同意して負う契約上の義務については、行政処分のように一方的に義務を課す場合と異なり、法律や条例の根拠を要しない。本件条例10条は、個人情報の取扱いを伴う事務を委託するときは受託者が講ずべき措置を契約で明らかにすることを市に求めており、その措置が実際に履行されているかを市が確かめる手段として、B社が市の職員による作業所の検査に協力する旨を定めることは、条例の趣旨に沿った契約条項である。契約で定められないのは、相手方の抵抗を排除して実力で立ち入るような権力的な手段であり、行政上の義務の履行確保は法律によらなければならない(行政代執行法1条)。しかし検査への協力義務はB社が自ら履行する契約上の義務にとどまり、これに当たらない。したがって本件契約にこの条項を定めることができる。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
誤り。違うのは「直接強制について、法律のほか条例を根拠規範とすることも許される」の部分である。
行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると規定する。同法2条は代執行の対象となる義務の根拠について、法律に法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含むという括弧書きを置くが、「以下同じ」とされている以上この読替えは2条以下に及ぶだけで、1条の法律には及ばない。したがって、条例で課した義務も代執行の対象になる一方、直接強制や執行罰のような強制執行の仕組みそのものを創設するには国会の制定した法律が必要であり、条例で創設することは許されないというのが通説である。直接強制は義務者の身体又は財産に直接実力を加えて義務内容を実現する手段であって人権への侵害の度合いが最も大きいため、その創設が法律に留保されている。法律による行政の原理は条例を法律に準じて扱うが、行政代執行法1条がこの領域について法律に限定している以上、同原理から直ちに条例による直接強制が許されるという結論は導けない。地方自治法14条3項が条例に罰則を置くことを認めるのも、義務違反への制裁であって履行強制の手段ではない。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
- 代執行:代替的作為義務を行政庁が自ら又は第三者に行わせ費用を徴収する。一般法は行政代執行法で、条例で課した義務にも使える(2条括弧書き)
- 執行罰:過料を予告して心理的に履行を促す。現行法では砂防法36条のみ
- 直接強制:義務者の身体・財産に直接実力を加える。成田新法など個別法にわずかに残る
- 強制徴収:金銭債権を国税徴収法の滞納処分の例で実現する
- 根拠:行政代執行法1条の「別に法律で定めるもの」に条例は含まれず、直接強制・執行罰を条例で創設することはできない
誤り。違うのは「A市職員が建築工事現場の入口を封鎖することができるものとすること」の部分であり、これは直接強制であって条例では定められない。
中止命令に従わない者の工事現場の入口を職員が封鎖する措置は、義務者の身体や財産に直接実力を加えて義務の内容を実現する直接強制である。行政代執行法1条は、行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによると規定し、履行確保の手段を代執行に限定したうえ、他の手段を認める場合の根拠を「法律」に限っている。同法2条が代執行の対象となる義務の根拠について「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)」と明示して条例を含めているのと対照すると、1条の「法律」は条例を含まないと読むほかない。直接強制は人身の自由や財産権に対する侵害が大きく、戦前の行政執行法が濫用された経緯から、個別の法律で必要最小限のものだけを認める建前がとられたからである。したがってA市は条例で入口封鎖のような直接強制を定めることはできず、適法になし得る余地はない。

行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。/法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合……当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
| 手段 | 条例で定められるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 行政刑罰(拘禁刑・罰金など) | できる(2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金等) | 地方自治法14条3項、最大判昭37.5.30 |
| 過料(秩序罰) | できる(5万円以下) | 地方自治法14条3項 |
| 代執行 | できる。代執行法の「法律」に条例を含む | 行政代執行法2条 |
| 直接強制・執行罰 | できない。「法律」に限られる | 行政代執行法1条 |
| 民事訴訟・仮処分による履行請求 | できない。法律上の争訟に当たらない | 最判平14.7.9(宝塚市パチンコ店条例) |
| 公表・給付の拒否など | できる。ただし相手方の権利を不当に侵害しないこと | 各条例 |
















